バケモノの子 感想・考察 part3

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バケモノの子


part1, part2に引き続き、バケモノの子の感想・考察を行います。
part3では、物語の核心に関するシーンに関する感想・考察を綴ります♪
ここは解釈が分かれるところかもしれません……。

白クジラとバケモノの子

17歳になった九太。
ある日、九太は8年ぶりに現実世界の渋谷に迷い込むこととなります。
そして、次のシーンは……、なぜか図書館……?


九太は、図書館でメルヴィル著の白鯨を読んでいることがわかります。

白鯨

こちらはわかりやすいですね。
印象に残った方も多くいらっしゃると思います。

しかし、冒頭のシーンは気づきましたか?

白クジラ

こちらのシーンは、蓮が家を出る直前の引っ越しのシーンです。
そうです。
こちらで映っている本もメルビイン著の白クジラです。
※表記が小学生向けにはなっていますが。

久しぶりの現実世界で、なぜ図書館に行ったかというと、
大好きだった白クジラを文章で読んでみたかったからではないでしょうか。

楓の心の闇の部分が垣間見えるシーン

楓の心の闇

九太「(師匠とは)怒鳴り合ってばっか」
楓「いいな、うらやましい」
なんで?
わたし、親とケンカしたことがない。
親に幸せのために私がいる。

会話のシーン中に高層のタワーマンションの描写が入る点と、
後から出てくる楓の家のシーンから、
ほぼ間違いなく、楓は高層のタワーマンションに住んでいます。
楓は裕福な家庭で育ったことは間違いないです。

二人とも私の気持ちなんて知らない。
気付いてすらいない。
でもわかっている。私は私自身で私を見つけなきゃ。
本当の私になれない。

幸せとは何か?私とは何か?
視聴する方の環境によって、様々な受け取り方があるシーンかと思います。

蓮の闇を見た楓

ショーウィンドウに映る蓮の闇

ショーウィンドウに写った自らの闇を見た蓮は、
取り乱し、楓に答えを求めます。

楓は蓮を抱きしめ、

蓮を抱きしめる楓

私もときどき、どうしようもなく苦しくなることがある。
どうにでもなれって、何かが胸の中から吹き出してしまいそうになる。
蓮君だけじゃない。私だけじゃない。きっとみんなそう。
だから大丈夫。だから……、大丈夫。

と興奮した蓮をなだめます。


人間だれしも、不安になったり、弱気になったりすることがあると思います。
時には、「もうどうにでもなれ!」と、半ば開き直りになることもあると思います。
そして、その時、
「こんな気持ちになってしまう自分は、なんて惨めなんだろう。」
と思うこともあると思います。

当然ですが、個人は生まれて死ぬまでずっと同じ個人です。
途中で誰かに成り代わることはありません。
だからこそ、
「自分だけが心の闇を抱えているのではないか。」
と考えてしまいがちです。

ですが、誰しもが心の中に大なり小なり悩みを抱えて生きています。
一見、誰から見ても幸せそうな人(楓)も、悩みを抱えて生きているのです。

以上のことを考えておくことで、
自分が本当につらくなったとき、
誰しもが抱えて生きているんだと、自らを客観視できるようになるのではないでしょうか。

クライマックス。蓮VS一郎彦

蓮VS一郎彦


場面としては、蓮VS一郎彦の白熱した映画の見せ場のシーンです。
本映画、最大の山場を私なりに解釈してみようと思います。

蓮VS一郎彦を解釈するにあたって、
以下の2つのシーンのセリフを紹介します。

楓が蓮に対して、白鯨の本の内容を教えるシーン

主人公は自分の片足を奪った鯨に復讐しようとしている。
でも実は、主人公は自分自身と戦っているんじゃないかな?
つまり、鯨は自分を映す鏡で。

一郎彦を倒しに行くことを決意したシーン

俺と一郎彦は同じで。俺は間違えたら一郎彦みたいになっていたかもしれない。

2つのシーンから、
蓮は、自分自身を一郎彦に重ねながら戦っていると解釈できます。


しかし、闇に呑まれた一郎彦の圧倒的な力を前に、
一度は一郎彦を取り込んで、自分ごと一郎彦を消し去ることを試みます。

一郎彦を取り込もうとする蓮

その光景を見た楓は、

「負けちゃダメ!」

と叫びます。

叫ぶ楓

この「負けちゃダメ!」のセリフが重要だと考えます。

本来ならば、

「死んじゃいや!」
「あきらめないで!」

などと叫ぶシーン。
ここで、なぜ「負けちゃダメ!!」と楓は叫んだのでしょうか。

このセリフは、何に負けちゃダメなのか?を考えると、
答えが見えるかと思います。

蓮の目の前の敵は一郎彦なのですが、
先ほど述べたように、蓮は一郎彦に自分自身を重ねて戦っています。

すなわち、楓は

「(自分に)」負けちゃダメ!」

と叫んだのではないでしょうか。
自分自身に負けそうになった蓮を鼓舞するために、
楓は精一杯叫んだのです。


あわや蓮は一郎彦を取り込もうとしますが、
剣の姿となった熊鉄が、蓮と一郎彦を断ち切ります。

胸の中の剣

あのやろう!お前の中の胸の剣になるんだとよ!

誰しも、自分自身に負けそうになるときがあります。
そんなとき、忘れてはいけないのは、
自分自身の胸の剣の存在。
自分自身の胸の剣とはなんでしょうか?


上の問いに答えるために、
一郎彦が闇に呑まれた理由から考えます。
宗師様は以下のように説明しています。

(本当は人間の子の一郎彦を)バケモノの子だと信じさせようとすればするほど、
一郎彦は自分自身を信用できず、闇を深くしてしまった。

一郎彦は自分自身を信用できなかったため、闇に呑みこまれてしまったのです。


自分自身の胸の剣の答えは、様々あると思いますが、
その一つの要素に、自分自身を信用するという要素があるように思いました。

不幸な出来事に遭遇したり、困難な壁が立ちはだかったりすることで、
誰しも、自分自身に負けそうになることがあるでしょう。
そういった時こそ、
自分の胸に手を当てて、自分を信じ、前へ進んでいくべきだということ
メッセージとして受け取りました。


全体を通して、子供も退屈しないような内容にしながらも、大人も楽しめる奥深い映画に
仕上がっているように感じました!

part1, part2をまだ未読な方は、こちらも合わせてどうぞー♪
バケモノの子 感想・考察 part1
バケモノの子 感想・考察 part2